水城総代には四人の娘がいて、長女には水城の有力な一族から婿を取り、妹たちはそれぞれ国内外に嫁いでいます。
水城の重臣、重里家に嫁いだ三番目の娘、白鳥の三男二女のうち、次男の正崇には優れた術式武道の才能があり、重里家への天神の加護の証として、両親や兄にとても大事に育てられました。
一方、本家の長女はなかなか男子に恵まれず、やっと生まれた子も病気がちで親の心配も尽きないところ、水城総代は天神の加護が篤い正崇を養子にするんじゃないかという噂が囁かれ、最近の姉妹仲はギスギスしています。
正崇が海軍に入りたいと言い出した時、家族は寂しいけれど枢機府直属の軍で大君のお役に立つのなら喜ばしいことと送り出しましたが、親としてはつまらない権力争いに巻き込まれて正崇を危険にさらすなら、いっそ水城州を去らせてしまうのも良いと思って海軍入りを認めたところもあります。
正崇本人は術式武道を極めることしか興味ないという態度を貫いていましたが、周囲が彼を見る目は色々な思惑に満ちていて、割と微妙な立場に置かれていました。
ちなみに白鳥が持っている写真は正崇から送られてきたもので、写真を撮って家族や恋人に送るのが海軍や海軍学校で流行ってるんだよ!と立花に無理やり写真屋に連れて行かれた時に撮ったのもの。仕事に夢中になって手紙の返事を忘れていると「正崇が手紙に返事をくれない(;_;)」と白鳥の従弟である燎や慶幸に告げ口される、そんな親子の距離感。
